夜に耽溺しているわけじゃない。独立した、そのまんまの朝を久しく迎えていない。朝はひょこひょこと夜に従属的に付いて来て、早く起床しようが遅く起床しようが後悔と気怠さを持ち寄っていつの間にか逃げ去ってしまう。
自堕落故か、夜への迷妄。碌でなし。
郷里を離れて一人になる青少年は大概このような朝が消える状況に陥る。
太古の昔、地上を闊歩する恐竜に脅えた哺乳類は夜に逃げたのだけれど、人が猿ですらなかった頃に白昼堂々地上を歩ける地位に返り咲いた。だから人は視力、特に色覚が発達していて、にも関わらず、眼鏡をかけて夜中にパソコンの液晶と向かい合っているのは、これはもう進化の歴史にごめんなさいとしか言いようがない。メガネザルにメガネザルって命名する前にちょっとは自分達を見直すべきだった。
こんな途方もない先祖返りから抜け出すためには罪を犯して規則正しく生活できる塀の中に入るか、或いは結婚かという選択しかないんじゃないか。ぬしと朝寝がしてみたい。
「潰瘍性大腸炎」なる難病を発症してしまってからは灰に覆われた朝を迎えることが多くなった。
さらにこの病気、活動期になるとこれまで親密な関係を築いていたはずの夜中まで辛くなる。Et tu,Brute?である。もう安心して寝られない。
この病を抑えるために生涯、薬を服用し続けることになるかもしれない。
薬名はアサコール錠。
朝来る、か。
いや朝凍る、か。
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