彼女は物語の最後に、実質の主役となる。まさに「漁夫の利」で。
この生き物に関して、ちょっと疑問を語りたい。
まず、よく見かける「このモササウルスでかすぎない?」という疑問は全く問題ではない。
原作小説や映画1作目から、パークの生き物は古生物の遺伝子を基にしたキメラである。
だから「実際にどんな生き物だったのか」というリアリティに従ってツッコむのはいけない。
ただ、これまでの映画3作よりも『ジュラシック・ワールド』は上記のような映画の基本設定の上で開き直っているように思う。
つまり「恐竜っぽいキメラなんだから、どんな描き方してもいいでしょ笑」みたいな発想で、だからモササウルスも馬鹿デカくなったのだ。
そして予告編でも使われた、ラグーンにホオジロザメを吊るす餌付けショー。
これは『ジョーズ』へのオマージュらしい。
いや、しかし、ホオジロザメって絶滅危惧なんじゃないの?と思ってしまうわけだ。
また、このサメは飼育が不可能なサメとしても知られている。今年の初めに、美ら海水族館で数日間だけ飼育できたのが話題になったけれど、それが快挙だと言われるくらい飼うのが難しいのだ。
1日1回ジュラシック・ワールドのショーで使ってるとして、どうやってホオジロザメを活かしてるの?
こんな野暮なことを言ってしまったけれど、私は人並み以上にこの映画シリーズを愛している。
むしろ『ジュラシック・パーク』シリーズについては、見て見ぬふりをしないのが愛情表現だと思っている。
コストをかけてでもホオジロザメを餌にするのは、子供たちを怖がらせて、より楽しませる為のマスラニ社の経営努力だ。そしてこの努力の為に化け物を作り、悲劇に繋がったのだ、と。
養殖マグロでコストを下げよう、なんて考えの人間はマスラニ社に採用されないのだろう(この映画はファンサービスで求人ページまでしっかり作っている)
もう一つ。
シリーズに登場する古生物たちのDNAは、琥珀の中に閉じ込められた吸血昆虫の消化管から採取された。
実際にはこの方法では損傷が激しくて復元は不可能だと聞くけれど、それはおいといて。
モササウルスは海中に生息していたのに、どうやって琥珀の中に血を吸った蚊が入るのか?
スピンオフで作られたゲームなんかでは、これまでに水棲の爬虫類が登場していた。それに一々つっこむことはしなかったけれど、映画に出す以上はファンとして一応納得したい。
こんな疑問にも、『ジュラシック・ワールド』はしっかりと答えてくれるわけである。
ファンサービスで公開されているマスラニ社のサイト。
この中に”Masrani backdoor”という 極秘の情報のページがある。
ちなみにパスワードは ”Indominus” である。非常に脆弱なパスだ。
ここにヘンリー・ウー(1作目と4作目の両方に出ている唯一の登場人物。元パークの研究者で、ワールドでも恐竜を作っている)の社外秘メールが載っている。
その”IRON STORES”というタイトルのメールによるとモササウルスの化石の”iron stores”から遺伝情報を採取した、と。
この”iron stores”というのがずっとわからなかった。鉄分?
すると、こんなウェブサイトを発見した。
「鉄は化石遺骸の中に古代の組織を隠し保存する」
海外の古生物関係の論文を翻訳している方のブログで、まあ読んでもさっぱりわからないけれど、題の通り、
「血液中の鉄分のおかげで化石になってもタンパク質が守られることがあるよ」ってことだと思う。たぶん。
2005年の発見らしい。
どのくらい大発見なのかわからないけれど、『ジュラシック・ワールド』の製作陣が「琥珀どこで手に入れたんだよ」というツッコミの為に、この発見を調べたとしたら、一枚上手だったなと思う。
ちなみに先程のウーのメールは2000年に送信されたという設定で、現実の発見より5年も前だから、やっぱり天才学者なんでしょう。
私にとっての個人的な発見。
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