『エデンの園』という絵に惹かれた、と書いた。
あの絵が映画っぽいなと思ったのは、映画の中で「恋愛」が当然存在するのに、絵画では中々カップルを見ないからでもある。ここでのカップルというのは神話の住人ではなく、現実的な恋人同士という意味で。
西洋の絵画の中で男女がイチャつき始めるのは案外遅い。そして「現実世界のカップル」となると、まあ少ない。
近代になってタブーが破られるにつれて、絵画の中に一般人の”リアル”が増えていく。その中に当然「恋愛」もある。そして現実世界が対象とされなくなると、当然カップルたちも消えてしまう。だからカップルの絵が少なく感じるのも仕方ない。
しかし「夫婦」の絵画なら近代以前でも結構思い浮かぶ。
たとえばファン・エイクの『アルノルフィーニ夫婦の絵』なんか。
こういった上流階級の肖像としての夫婦はおいといて。
また肖像画ではなくとも「家族としての男女(夫婦)」も恋愛っぽさがないから、ここではカップルとして扱わない。
ミレーの『晩鐘』は夫婦であってカップルに見えないし。
比べて時代は遡るけどレンブラントの夫婦の肖像なんかはリアルなカップル感が出ている。
ただ、この絵はレンブラントの夫婦の肖像としてではなく、聖書の「放蕩息子」の一場面として描かれているらしい(『放蕩息子の酒宴』)
映画の中の恋人たちを眺めるのは良い。
実生活で恋人たちを見かけると、イラッとすることがある。反対に心の中に幸福な感情が生まれることもある。
そんな素敵なカップルだと「このカップル、絵的だよね」なんて思うかもしれない。
では絵画の中にどんなカップルたちがいるかを見てみたい。
・カップルの絵を特集してみる1
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